あいちトリエンナーレ地域展開事業

アーツ・チャレンジ2019


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―選考委員講評―

五十嵐 太郎 木村 絵理子 角 奈緒子 拝戸 雅彦

拝戸 雅彦
MASAHIKO HAITO

愛知県美術館企画業務課長

愛知県生まれ。1991年名古屋大学文学研究科博士課程後期美学美術史専攻中退。1992年10月から2008年3月まで愛知県美術館の学芸員として勤務し、美術館で開催された現代美術展に関わる。「イタリア美術:1945−1995」(1997)、「ファウスト・メロッティ」(1999)、「戸谷成雄-森の襞の行方」(2001)、「アジアの潜在力」(2005)、「愉しき家」(2006)、「サイクルとリサイクル」(2007)など。ルイジペッチ現代美術館(プラート市、イタリア)での日本現代美術展「先立未来」(2001)や、ソウル市立美術館でのアジアの都市単位の美術動向を扱う「city_net_asia」(2006)の名古屋セクションのキュレーションにも関わる。あいちトリエンナーレ2010と同2013に共同キュレーターとして参加。あいちトリエンナーレ2016はチーフキュレーターとして参加。



 私の立場で言えば、これまでは選考委員の一人だったが、今回は全体を取りまとめるキュレーターを任されることになった。開催時期となる来年の2月においても、この芸術文化センターの改修工事はまだ続いている。若手のダイナミックな個展的な展示には意外に迫力の出る、地下2階のアートスペースXが使えない他、10階の美術館がまだ休館中、ということもあり、これらのことを意識した選考になった。ただ、前回と違い、美術館を除けば、センター内で比較的ホワイトキューブにも近いように見えるアートスペースG、アートスペースHが復活している。それでも、選考される作家は10人から 8人へと減少してしまい、改修中のイレギュラーな状況でイベント全体でどう魅力とヴォリュームが作れるのか課題は多い、と感じる。ただ、公募企画としては知られるようになっていて、応募数はいつも通りだった。2008年の初回から、近くで見て関わっていた立場からすると、近年の傾向だと思うが、応募するアーティスト自身の空間の読み込み方が上手くなり、場所に合わせた見せ方をしているようにも見える。例年通りに、開催が2月と寒い時期なので、一般の方は地下2階の通路を経由しての入館を想定した。地下2階のフォーラムIIがまず鑑賞者の出発点となる。そのフォーラムIIでは、数体のゴースト(お化け)が自動的に動きまわる進藤の作品が、見るともなく普通に通り過ぎる入場者にとってもユニークな風景となり、同時に気配らしきものを体験することを期待しよう。続けて、エレベーターホールに向かうと、そこには、加藤真史のオールオーヴァーな雑草の風景が横に広がる。この建物の白い大理石が目立つ、乾いた風景 にも見える場所に、空き地のような場所の誕生を思い浮かべたい。そこを抜けて、展示ボックスの中には、小林による自分の顔を型どった石膏像が並ぶ。そこにはそれぞれ別の顔が塗られている。問いかけるのはアイデンティティの喪失なのか、それとも自由にキャラクター化された自分の姿なのか。外に出て、階段を上がっていくと、吉村の、自らが映し出される鏡を出発点に、光と自らの姿が交錯する風景が展開される。そして10階の閉館中の美術館の前から庭にかけてはナノメートルアーキテクチャーが鈴による鐘を作る。風が音を作り出すが、冬の時期に鳴る鈴の音の響きに耳を傾けたい。12階で は三瓶が絵画の構造体のモデルを提示する。続けて、大東が皮膚としての絵画を提示す る。これまで、アートスペースG、アートスペースHは、視覚的な見応えを提示してき たが、今回は頭脳的な部分を刺激することになりそうである。二人とも窓があるスペー スであることを意識した。加藤立の場所はまだ未定だが、芸術文化センター内を後ろ向 きに行き会う人の姿をユーモラスな形で映像化して、それを提示する予定となっている。


あいちトリエンナーレ地域展開事業実行委員会事務局
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