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あいちアートプログラム

選考委員と講評

[五十嵐太郎] [伊藤まゆみ] [角奈緒子] [拝戸雅彦]


■伊藤まゆみ

東京都現代美術館育成支援課企画調整係長

愛知県生まれ。2005年関西学院大学大学院文学研究科 (美学芸術学専攻)修了。2006年より神戸アートビレッジセンター美術プロデューサーとして勤務。2008-14年「若手芸術家・キュレーター支援企画1floor」、2011年「梅田哲也展 大きなことを小さくみせる」、2012年「ハジメテンのワンダフルハジメテンプル」、2013年 「蓮沼執太展 音的→神戸」、2014年「phonograph-音・文字・グラフィック」、2013-14年トークサロン「hanaso」なと、若手芸術家の育成やまちの活性化をキーワードに様々な展覧会やトークイベントなどの企画運営を行う。2015年より公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館(旧トーキョーワンダーサイト)にて勤務。


■講評

 前回の「アーツ・チャレンジ 2016」に引き続き、2度目の審査に関わらせていただいた。公募企画にとって審査員も重要な魅力の一つだと思うので、少々役不足ではないか...と不安に思ったものの、前職(神戸アートビレッジセンター)と現職共に、若手アーティストの育成支援をミッションとした施設に勤務した経験から、アーティストに近い視点で審査に寄与できればと思い、参加させていただいた。
 現職でも「トーキョーワンダーウォール」(2016 年終了)、「ワンダーシード」、「OPEN SITE」など、様々なタイプの公募企画を実施しているが、「アーツ・チャレンジ」の特徴は、愛知芸術文化センターの館内の様々なスペースを展示会場としていること、キュレーターによる助言を受けて作品の制作・展示に向かえること、また、年齢制限が 39 歳以下で、おおむね3年 以上の活動実績があることを条件にしている点があると思う。
 一般的に「若手」を対象とした場合、年齢制限を35歳未満としているケースが多い。「若手」の定義は様々あると思うが、「アーツ・チャレンジ」の活動実績3年及び 39 歳以下という条件は、出品作品のクオリティを担保する上でも重要な条件だと思う。今回の応募者の平均年齢は30.1 歳ということだったが、30代後半の応募も目立っていた。昨今、若手を対象とした公募展は増えているが、ある程度経験を積んだ中堅の作家の支援が日本ではまだ足りていない現状があり、30代後半までをフォローすることは意義あることだと思う。
 今回の応募で興味深かったのは、展示空間の特殊性も関係してか、映像、立体、インスタレーションなど様々なメディアからの応募があったなか、陶芸分野からの応募が複数あったことだ。常滑など、焼き物が盛んな愛知ならではと感じた。また、前回と比べて、12階のア ートスペースが使えないこともあって、絵画の応募が少なかったように思う。反対に、展望 回廊、南側階段上踊場の応募が多かったのは、芸文センターならではの空間の魅力を感じた応募者が多かったのではないかと思われる。
 野外で開催される芸術祭の公募の審査でも経験したが、展示場所を指定して応募するタイプの公募だとエリアによっては人気が集中し、結果的に倍率が高まり、実力ある作家であっても選外となってしまうケースがあった。もちろんプランによっては、別のスペースへと提 案するケースもあるのだが、今回は前回の12企画から8企画に入選枠が減ったこともあり、 より絞り込みが難しく感じられた。また、観客の導線を考慮して会場を地下にまとめたり、出品作品のメディアのバランスを検討するなど、審査の最終局面で審査員によって、一つの 展覧会としての見え方についての配慮がなされたことは、本企画ならではの面白味だと感じた。
 今回の展示では、地下一階フォーラム北側壁面周辺には、吉田絢乃による電話やSNS なと時代ごとの対話の記号をモチーフにしたインスタレーションが出現し、地下二階に下りると ビデオルームでは、山本愛子による音の視覚化を試みた静謐な平面作品とインスタレーションが展示される。通路西側には、小宮太郎によるイメージの可塑性について考察したトロンプ・ロイユ的インスタレーション、展示ケースには小笠原周のボクシングのワンシーンをレリーフにした彫刻作品、アートスペース X には小松原智史による緻密なドローイングによる独自の絵画空間が現れる。さらに、南側階段下部踊場には道楽同盟による階段の構造を生かしたユニークな仕掛けのインスタレーション、階段を上ると踊場に佐藤美代のわらべうたをテーマにしたアニメーションが上映され、二階フォーラムには椋本真理子によるプールとダムに焦点を当てた彫刻作品が点在する。
 それぞれメディアもコンセプトも異なる作品たちではあるが、各空間の魅力を生かした新しい試みをしてくれることだろう。約5か月後、各空間にインストールされた彼らの作品を 実見するのが楽しみであるとともに、展示までの試行錯誤やキュレーターとの対話など、展覧会実現までのプロセスを通して彼らなりの気づきや学びがあることも期待している。



あいちトリエンナーレ地域展開事業実行委員会事務局
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